花がふってくる
- 2008.
- 06.
- 28
- (Sat)
- 23:59
崎谷はるひさんの小説です。イラストは今市子さんです。
崎谷さんらしくないという噂と、今市子さんのイラストがピッタリ!という評判だったので購入してみました。
どんなお話かと言いますと・・・
大学助手の蓮実秋祐は、いとこの袴田涼嗣と同居している。
同い年のくせに、際限なく甘やかしてくる涼嗣に、秋祐は密かに恋をしていた。
近すぎる距離があたり前になっていた二人だったが、涼嗣が恋人・理名との結婚を決めたことから事態は大きく動き始める。
秋祐は涼嗣への想いにピリオドを打ち、離れる決心をするが――。
(『花がふってくる』書籍カバーの内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
bk1で見る⇒
![]()
- 花がふってくる (DARIA BUNKO)
- 崎谷はるひ
- フロンティアワークス 2008-05-13
- おすすめ平均
蛍と今市子さんのイラストで魅力アップ
by G-Tools , 2008/06/29
わりと楽しめました。面白かったです。
でも、私、どうして崎谷作品が苦手なのか、もうひとつの理由が、今回判っちゃったな。
(当然、全てが駄目なわけでは無くて、好きな作品もありますよ)
私、どうやら「依頼心が強い生活能力のない受け」と「有無を言わせず、いたれりつくせりの攻め」というのが、苦手みたいなんですよね。
はぁ〜、スッキリしたぁ!!
こちらのお話、その、「依頼心が強い生活能力のない受け」と「有無を言わせず、いたれりつくせりの攻め」パターンかと思われたのですが、微妙にちょっと違っていましたね。
その、「微妙にちょっと違う」部分が、細やかに丁寧に書かれていて、思わず納得のお話でした。
秋祐は、思ったより、図太くてしたたかで、けっこう好感が持てました。
早い時期に、自分の性癖に気が付いて認めてしまったからじゃないのかな?
そしてたぶん、涼嗣に面倒をみて貰わなくても、好きなように気ままに生きて行くようなタイプなんじゃないのかな?と思いました。
それにしても、涼嗣の鈍感さと無神経さには、びっくりですね。
特に、いよいよ結婚か!という頃になって、やっと秋祐の存在に気付くとはね・・・。
結婚しても一緒に同居する気でいたのかしら?と思うと、呆れて笑いがこぼれるくらいですよ。笑っちゃいました。
やっぱり、兄弟のように育つとそうなっちゃうのかなぁとか思ったけれども、それにしても無神経な話ですよね。
秋祐は、涼嗣とらぶらぶになっても、まだまだそっとため息をもらすような事がありそうな気がするよ。
いとこ同士で兄弟のように育った二人だから、秋祐は涼嗣の家族に対して、涼嗣を自分のものにしてしまった事に罪の意識があるだろうし、何よりも、秋祐は、いくら自分の性癖について腹を括っているとは言え、そんな自分を自分自身でちゃんと愛せていないような気がしたので、それをどの程度、あの鈍感男が理解しているのかなと。
そういう気持ちを理解して拭ってあげられるといいな。
だから、最後、澄さんの振る舞いにはジーンときちゃいました。
少しは秋祐も救われたんじゃないかなと思いました。
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:崎谷はるひ 今市子
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
美男の達人
- 2008.
- 06.
- 25
- (Wed)
- 13:16
小林典雅さんの小説です。イラストは高峰顕さんです。
『棒投げ橋で待ってて』ですっかりハマってしまったので、期待して待っていました。
笑った!!大満足!
喜劇ですね。三谷幸喜さんが書きそうな構造のお話でした。
笑いには、少々毒を含みますので、読み手を選ぶのかもしれません。
新也美樹さんがお好きであれば、ぜんぜんOK!
どんなお話かと言いますと・・・
淑女の皆さん、ごきげんよう。美男塾塾頭の箭内です。
美男塾――それはイケメン養成所もしくはモテない男救済機関。
「すべての男性に素敵な恋を!」と、日々悩める子羊を導いているわけですが、このたび少し面白いことが起こりました。
一見モテるはずの爽やかな好青年(郵便局勤務)が説明会を経て入塾したのですが、どうやらうちの講師に一目惚れしたらしく、しかもその相手があの猫かぶり!
当塾の有用性が実証される瞬間です、ぜひその目でお確かめください!
(『美男の達人』書籍カバーの内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
こちらのお話、女性にモテる為の美男塾講義と共に、お話が進行して行きます。
メインは美男塾講義で、講義と講義の合い間に、講師と塾生や塾生同士等の人間模様を挟んで進行して行くので、お話の内容は概ね「美男塾」の講義内容になっています。
この美男塾の講義が笑えました。
女性だったら、ニヤニヤしちゃうんじゃないかなー?
世間一般のありがちな男性像をバッサリと斬り捨て、まさに女性に都合の良い内容ばかりで、言いたい放題です(笑)
その上、この、女性にモテる為の講義を特に真剣に聴いている奴らは、男相手に恋愛感情を抱いているというのも笑えます。
しかも、その事実にいち早く気付いたのは、塾頭の箭内なのですが、あろう事か、箭内までもがこの男×男の流れに参入してしまうんですよね。
講師の夏秋[受]にひと目惚れをしてしまった、爽やか系イケメン上遠野[攻]は、乙女モードを密かに隠し持っているのですが、恋をして頻繁にスイッチが入るようになってしまって、可愛かったです。
物腰が柔らかく笑顔の素敵な夏秋は、実は、相手には容赦無くミもフタもない言い方をする男で、その豹変ぶりにはド肝を抜かれました(笑)
しかも、この男、結婚に失敗した過去があり恋愛には後ろ向き。知識はあってもそうそう上手くは行かないという、講師としては皮肉な秘密ですね(-_-;)
ま、そんなこんなで、結局は上遠野の粘り勝ちだったのかなぁという結末で、BLとしては物足りなさが少々残るものの、乙女な攻めとオトコマエ受けの好みのカップルだったので、その辺りはそこそこ楽しめました。
それよりも何よりも、面白可笑しいお話だったので、大満足でした。
脇の下大サービス・・・楽しそうだ(笑)子供は可愛いな。
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:小林典雅 高峰顕
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
春夢楼に咲く華は
- 2008.
- 06.
- 14
- (Sat)
- 16:35
毬谷まりさんの小説です。イラストは御園えりいさんです。
たまに、遊郭モノでも読んでみようかな?と思い、本屋で衝動買いした本です。
わりと最近購入した本なのですが、積ん読本と化していた本で、やっと読みました。
わりと面白かったです。再会モノです。
ヒネりを効かせたストーリーですが、あまり湿っぽくなくアッサリとしたお話だと思いました。
どんなお話かと言いますと・・・
吉原一の花魁と評される『春夢楼』の華王の元へ、かつての想い人であり姉の元婚約者・日下部慎一が訪れる。
七年ぶりの再会に今でも華王を弟として案じ、身請けを申し出る慎一。
しかし、娼妓として男に抱かれることを過去への贖罪とする華王は慎一を拒絶する。
そして慎一を諦めさせるため、華王は彼の目の前で書生・山村に抱かれるのだが…。
いつしか三人はほの暗い欲望を滾らせ、淫らな狂気を共有していき…。
愛憎渦巻く遊郭絵巻!
(『春夢楼に咲く華は』書籍裏の内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
遊郭モノを読む楽しみは、お約束の、運命に翻弄されるとか、人情話とか?
再会モノも多いし、私は読んだ事は無いですけれども、玉の輿みたいなお話もあるんじゃないかと。
あとは・・・濡れ場を古い言い回しで楽しむ、とか?
(これは、私だけ?(-_-;)けっこうコレが楽しみの一つなんですよねー。作者のセンスが問われる場面でもあると思うので、たぶん、チカラが入っていると思われますし。)
私はそれほど遊郭モノが好きなわけでは無いのですが、あまり読まない理由は、主人公がいかにもヒロインという感じで、それがかなり女クサく感じる事が多いからなんですよね。なんだか駄目なんですよー[受]が女クサいのは。
イラストのせいもあると思うんですけれども。男と言えども花魁ですから、女装(?)していますし。
華王は、罪を背負って生きているんですけれども、それが何なのか気になって最後まで読ませられてしまったという感じですか?(-_-;)
それに、アッサリした雰囲気のお話でしたね。
それなのに、面白かった!と思えました。
これでもか!これでもか!というような、数奇な運命に翻弄される・・・とか、いかにもなお涙頂戴で「さあ、泣いてください」みたいなわざとらしさも無くて、読みやすくて好感が持てました。
そして、華王は、けっこうなオトコマエで良かったです!
世を儚むわけでも無く、運命を呪うわけでも無く、自分の人生はちゃんと自分で引き受ける覚悟があるんですよね。
多少は自虐的ではあるんですけれども、過剰ではありません。
悲劇のヒロイン的なお話では無かったせいもあるんでしょうね。
さてさて・・・
こちらのお話は、少しヒネりを効かせたストーリーになっているのかもしれません。
お決まりの「お約束」が少ないんですよね。
例えば・・・娼妓と客として再会して、娼妓は泣く泣く娼妓としての仕事をする・・・とか、身請けされてハッピーエンド、とか。
(ここに萌えがある人には、少々残念なお話かもしれません。)
そもそも華王は、泣く泣く娼妓になったわけでも無いですし。
再会モノとして考えた場合は、まあ・・・ありがちなお話だったかも?
萌えドコロは、やはり、視姦プレイですかね?
私はそれほどこちらには萌えは無いのですが、この行為が後の出来事に繋がって行くという、重要なポイントとして生かされていて、こういう作者のバランス感覚に感心しました。
そして、全体的に、Mっぽいお話かもしれないです。
それにしても・・・
華王の想い人であった日下部、この二人が出会った時、10歳と17歳ですよ!
日下部はロリコン?いやいや・・・ショタ?実は危ない奴なんじゃ・・・
しかも・・・華王の姉をダシに使うとは。女性にとっては許せない奴だったかも?
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:毬谷まり 御園えりい
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
ビューティフル・プア
- 2008.
- 06.
- 09
- (Mon)
- 15:29
榎田尤利さんの小説です。イラストは稲荷家房之介さんです。
長らく、温存しておりましたが、やっと読みました。
実は私、榎田尤利さんは作家買いはしておりません(-_-;)。
が、しかし、こちらは、稲荷家房之介さんのゴージャスなイラストに慄きながらも、「貧乏」に惹かれて購入。
でもねぇ・・・以下、辛口な感想となってしまいました。
どんなお話かと言いますと・・・
「貴族でも、そうじゃなくても、あなたはあなたでしょう?」
父親の命で、遠い異国へとやってきた玲一郎。
貧乏のあまり、自らを売りに出した侯爵・アロウが所蔵する絵画が目的だ。
彼を求めて大富豪が集まるなか、唯一庶民の玲一郎はなんとか侯爵に近づこうとする。
その超絶美貌にも揺らがなかった玲一郎だが、彼の人柄に触れるうちに、なぜだか心から笑う顔が見たくなり――。
(『ビューティフル・プア』書籍裏の内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
電気も止められて、薪割りをする清貧の貴族・アロウ。
自らを売りに出すって、どういうこと!?
ええ・・・ぶっちゃけ、パトロン募集でしたね。
もちろん、歴史的価値のある屋敷と森を維持して行く為に。
森を守りたいっていうのは・・・たぶん、切実な願いだったんでしょう。
だからこそ、頑張って来たんでしょう。
パトロン募集がどうとか言う気は今更ありませんよ。BLですから(-_-;)
(だけどさー、貴族様って、働き口が無いのかしらね?扱い辛いから雇ってくれないとか?そういうのは、ありそうかもしれないけれども。)
しかし・・・パトロン募集の陰には、あのような歪んだ考えがあったとは。
いやね、可哀相だとは思うんですよ?
でも、私は何かここで、突如として白けてしまったんでした(-_-;)
唖然とした、というのが正しいかもしれません。
玲一郎の父が狙っていた絵もねぇ・・・ごにょごにょ・・・。
なんだかお粗末な話ではないですか!?
言うに言えなかったんだろうとは思いますがね。
玲一郎が恋に落ちたら、もう、あの絵なんてどうでも良かったんですかね?
こちらのお話は、BLなので恋愛の話ではありますが、アロウが父親に愛されたいが為と森を守るために頑張って来て、「健気だねぇ・・・」と。そして報われると「良かったね!」というお話ではなかったんですかね?違うの?
なんだかスッキリしなかったんですよね・・・なぜだろう?
やはり、アロウの事が好きになれなかったからなのかな?
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:榎田尤利 稲荷家房之介
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
ホテル・ラヴィアンローズ
- 2008.
- 05.
- 16
- (Fri)
- 12:51
高遠琉加さんの小説です。イラストは北上れんさんです。
久々に読んだかも。高遠琉加さんの小説。
やっぱり好きだわ〜、癒される・・・。
全体的に、センチメンタルでドラマティックなお話だったなぁ・・・という印象が残りました。
こちらのお話は、「ホテル・ラヴィアンローズ―青―」と「ホテル・ラヴィアンローズ―赤―」という雑誌掲載ぶんと、書き下ろし「薔薇色の人生」の、3編に分かれていて、別なカップルで違うお話になっています。
実は、「ホテル・ラヴィアンローズ―赤―」は雑誌で読んでしまっていて、あまり好みでは無かったので、正直、買おうかどうか迷ったんです。
でも、買って良かったです!
どんなお話かと言いますと・・・
街中に建つ瀟洒なプチホテル『ホテル・ラヴィアンローズ』。
レトロで洒落たホテルの夜を妖しく彩るのは、駆け落ち、熱い思い出、そして奪う愛――!!
純愛と情熱が交錯するロマンス、書き下ろし作品も収録!
(『ホテル・ラヴィアンローズ』書籍裏の内容紹介より引用しました)
- 「ホテル・ラヴィアンローズ―青―」
- 感情を表に出す事が苦手で、クラスで孤立している高校二年の久住は、同じクラスで棒高跳びの選手である滝口の、空へ高く跳ぶ様子に魅せられ、放課後、密かに滝口をデジカメで撮っていたのでしたが、その事が化学教師に知られて・・・?
- 「ホテル・ラヴィアンローズ―赤―」
- 街中に建つ瀟洒なプチホテル・「ホテル・ラヴィアンローズ」。
寡黙で精悍なフロント係の数樹は、毎週金曜の夜に決まって「赤」の部屋に泊まりにくる、ワケありげな美人サラリーマン・浅海のことが忘れられなくて……!?
(『ホテル・ラヴィアンローズ』書籍裏の内容紹介より引用しました)- 「薔薇色の人生」
- 戦争が終わって5年、戦争で父を失い家を失った13歳の千尋は、戦後没収された生家の庭に、病気の母の為にと、母が好きなエリカの花を盗みに忍び込んだのでしたが・・・?
・・・というようなお話です。
「La vie en rose」と言えば、エディット・ピアフなんでしょうけれど、私の愛聴盤は、サッチモの「La vie en rose」
しかし、「薔薇色の人生」作中の、千尋のお店のラジオから流れるのは、やはり、エディット・ピアフの「La vie en rose」なのでしょうね。
昨年、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(映画)を見たばかりなので、未だに、脳内再生(^_^;)が可能です(笑)
さてさて・・・
今は廃墟となってしまった、「ホテル・ラヴィアンローズ」に関わった人々のお話です。
「ホテル・ラヴィアンローズ―青―」は、ぎゅぎゅ〜っと胸が締め付けられるような思いで読み終えました。
こちらのお話は、廃墟となった「ホテル・ラヴィアンローズ」から始まり、過去に遡るお話なので、読む前から、失う予感があり、よけいに切なく思えてしまうんです。
撓るグラスファイバーのポール、青い空に放り出される身体、夕暮れ、暗闇、バイク。
「青い空に放り出される身体」という開放的な映像(自分勝手な脳内再生映像ですけれども)とは対照的に描き出される子供たちの閉塞感に、溺れそうなくらい苦しかったです。
けっして口にする事が出来ない秘密を抱えつつも、閉塞した日々の中で手に入れた、二人の秘密を共有したキラキラした時間の、その儚さも悲しくて。
そして、後に知る事になる滝口が起こした事件の真相の陰には、残された短い時間に対する、滝口の焦りが感じられます。
そんな二人がチェック・インした、「ホテル・ラヴィアンローズ」の部屋は、「青」の部屋。
青い空は、やっぱり子供たちでは手に入れる事は出来なくて。
「ホテル・ラヴィアンローズ」の天井は、まがいものの青い空。
しかし、久住は、「ホテル・ラヴィアンローズ」の「青」の部屋で、滝口を失った事によって、勇気を手に入れたんですね。
やがて二人は、青い空を手に入れた大人になって、廃墟となった「ホテル・ラヴィアンローズ」で再会します。
そこで、やっと久住は、久住にとっての憧れた青い空を手に入れるんです。
喪失した過去は、二人の心の中で残り続け、また、朽ちてもなお、未来への希望をくれた「ホテル・ラヴィアンローズ」
「喪失」した過去が、廃墟で新たな「再生」を果たしたお話。
「ホテル・ラヴィアンローズ―赤―」は、心中に失敗して過去の亡霊に怯え、まるで未亡人のように生きる気弱な美人サラリーマンと、図々しく強引なホテルマンとの、お話です。
幽霊が出るという噂の、「ホテル・ラヴィアンローズ」の「赤」の部屋。
そこに、毎週金曜の夜に決まって赤の部屋に泊まりにくる浅海の過去と、幽霊の噂が関係ありそうだと気付いた、「ホテル・ラヴィアンローズ」フロント係の数樹は、好奇心からと浅海の美貌に惹かれ、浅海に近づき、関わるようになります。
過去に縛られ続ける浅海に、イライラしながらも、浅海を過去から現在へすくい上げる数樹は逞しく、まさに情熱の男。
過去と決別できずにいるのに、そんな数樹に、よろめいてしまうんですな。浅海は。ふっふっふ・・・。
浅海を過去に縛る小道具として出てきた、「回転木馬」のオルゴール。しかも、楽曲はトロイメライ。
呪いのようですね。これは。終わらない夢。
閉園時の「回転木馬」は、浅海にとっては残酷だと思いましたが、夢から覚めてもらわなければなりませんから。
ここで、数樹の本気を見せられましたね。
これくらい、強引で図々しくないと、浅海を過去からすくい上げられなかったかもしれないな・・・と思いました。
このお話では、「喪失」→「再生」が「ホテル・ラヴィアンローズ」が営業中であった「現在」の中で繰り広げられています。
私は、数樹と同様に、浅海には、もう、イライラ。
しかも、ありえないですよね〜?こんなホテルマンは。
あまり好きになれない二人だったかな・・・
が、しかし、美人で気弱でえっちな身体の浅海と、強引でイジワルな数樹は、お似合いと言えばお似合いだわ。
「薔薇色の人生」は、「ホテル・ラヴィアンローズ」がホテルとして使われる前のお話です。
戦争が終り、何もかも失くした千尋と、新しい時代を夢見る健志の、恋のお話で、二人は新制中学の中学生です。
「じゃあ、大きくなったら、あの家、取り戻せばいいよ。」
「だって、戦争は終わったんだからさ」
失くしたものを思うばかりだった千尋は、健志と出会った事で、未来に希望を見い出す事が出来るようになり、二人は恋心を育てて行ったのですが、やがて離れ離れに。
「いつか、絶対にまた会おう。会えるよ。あの家、取り戻すんだろう?」
その言葉を心の糧として、二人は、懸命に生きて来たんだと思います。
この話、ほんと、ヤバイ(涙)
「喪失」が希望を繋ぎ「再生」を果たし、それが「ホテル・ラヴィアンローズ」に。そんなお話。
◆◇◆◇◆
いやいや〜、些かドラマティックなお話ではありましたが、人が幸せになる話は、やっぱり嬉しいわけで。
特に、子供たちの、幼いながらも助け合ったり労わりあったりして成長して行く、という話には弱いです。
高遠琉加さんの小説を読んでいると、いつの間にか「ボーイズラブ」だという部分を忘れている事が多いんです。
登場人物が、男でも女でも無い人としての本質っていうのかな・・・その部分で係わりあって行く、というお話が多いからかもしれません。
そう言った意味では、BL本以外もバリバリ読む、本好きな活字読みさんにも、満足なお話だったのでは?と思いました。
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:高遠琉加 北上れん
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
頬にそよ風、髪に木洩れ日<右手にメス、左手に花束6>
- 2008.
- 04.
- 28
- (Mon)
- 18:03
椹野道流さんの小説です。イラストは鳴海ゆきさんです。
『右手にメス、左手に花束』シリーズの6作目で、『その手に夢、この胸に光』<右手にメス、左手に花束5>の続きです。
どんなお話かと言いますと・・・
学位を取得した江南は、助手になることが内定し、ますます忙しい日々を送っていた。
中でも腹膜炎で入院中の少年・松川孝志をめぐっては、事件の被害にあった可能性があるとして警察が捜査に乗り出してくる。
江南を労りつつサポートする篤臣は、法医学者として鑑定を依頼され一つの仮説を提示するが…。
以前より感じていた腹痛が悪化し、職場であり、江南の待つK医大附属病院へとうとう緊急入院することに。
そこで待ち受けていたのは、ドS楢崎の内科診察&元気ハツラツ小田教授の執刀フルコースで――!?
(『頬にそよ風、髪に木洩れ日<右手にメス、左手に花束6>』書籍裏の内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
※こちらの作品には『茨木さんと京橋君』というリンク作品があります。
楢崎先生が、カップルで登場しています。![]()
- 頬にそよ風、髪に木洩れ日―右手にメス、左手に花束6―(二見シャレード文庫) (二見シャレード文庫 ふ 3-12)
- 椹野道流 鳴海ゆき
- 二見書房 2008-04-25
- おすすめ平均
理想の…
by G-Tools , 2008/04/28
忙しく、すれ違いの生活を送っている二人なのですが、ますます、らぶらぶ!?
こちらの『頬にそよ風、髪に木洩れ日<右手にメス、左手に花束6>』では、勤務先の病院で、オシドリ夫婦ぶりを発揮していました。
それに楢崎先生も加わって、問題解決へと導いていました。
一人よりも二人、三人寄れば文殊の知恵?ちょっと違うかもしれませんが、そんなストーリーかな?と思いました。
お弁当に手紙を添える篤臣にジンワリ、鼻歌を歌いつつ鍋をかきまわす篤臣が微笑ましくて。
「嫁」と呼ばれる事に抵抗がある篤臣なのですが、やはり「嫁」ですね(笑)
江南は、だんだん丸くなって行っていますね。
やはり、一人より二人、という事なのでしょうか?
つまらない意地もソコソコにして、篤臣の気遣いを受け入れて感謝して、お互いに尊重しあって生きて行こうという姿勢が感じられて、ますます羨ましいカップルになっていました。
ところで。小田教授。
今まで抱いていたイメージと違ったわ〜。
ファンになっちゃいそう(笑)
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:椹野道流 鳴海ゆき
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
FRAGILE
- 2008.
- 04.
- 09
- (Wed)
- 17:12
木原音瀬さんの小説です。イラストは高緒拾さんです。
高緒拾さんがイラスト、という事は・・・ボンデージ?ボディピアス?とか、そっち系(^^;)趣味な痛い話なのかな?と。
どうも私には、そんなイメージがあります。高緒拾さん。
そっち系が気持ちよい人な話ではなかったのですが、覚悟しておいて良かったです(^^;)
どんなお話かと言いますと・・・
大河内の人生は、バラバラに壊されてしまった。一人の男の手で──。
才能あふれる部下・青池を嫌い、一方的に蔑ろにしてきた大河内。
我慢の限界を迎えた青池は大河内に襲いかかるという事件を起こし、社を去っていく。
目障りな存在がいなくなり安堵したのも束の間、ある夜、その青池が大河内の自宅で待ち構えていた…!
大反響の雑誌掲載作に大量書き下ろしを収録。二人が踏み込んだ愛憎の迷路のたどり着く先は──。
(『FRAGILE』書籍裏の内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
![]()
- FRAGILE (B-PRINCE文庫 こ 1-1)
- 木原音瀬
- 角川グループパブリッシング 2008-04
- おすすめ平均
衝撃を受けつつ素晴らしい木原作品!
激しい愛憎劇
by G-Tools , 2008/04/09
こちらの本は、「FRAGILE」(雑誌掲載ぶん)と「ADDICT」(書き下ろし)とに分かれており、「FRAGILE」は、狂気に満ちた倒錯したお話になっていて、「ADDICT」は、青池の、止めたいのに止められない本音と、苦しい心情が綴られながらの、その後のお話になっています。
面白かったです。
どこまで行っても、どうしようもなく馬鹿な男、青池。姑息で矮小な男、大河内。
「可愛さ余って憎さが百倍」と「執着」。そんなストーリーかな?
木原音瀬さんの小説らしく、最後の最後まで、この二人は、どうしようもない男のままです(笑)
自分を愛して欲しくて、そして、大河内が憎くて、やり方を間違った青池は、残念ながら、情け(?)しか得る事は出来なかったように私は思いますが、それでも、青池は幸せだな・・・と思える、救われるお話でした。
大河内がかけた情けが、どのような質の物であっても、青池にとっては、それこそ、これ以上のものは無いと思えるほどの「情」なのでは?と思いました。
「FRAGILE」を読むと分かると思いますが、青池は、お釣りが貰えるとは思ってもみなかったのですから。
こちらのお話、狂気じみた痛いお話に違いは無いのですが、最後の最後まで読み終えた時、なぜか、ふっ・・・( ̄ー ̄)と、笑ってしまいました。私は。
大河内の「ADDICT」って・・・。相変わらず、木原音瀬さんは意地が悪い(笑)
大河内は、小心者なくせにふてぶてしくて安きに流されやすい奴だと思うので、しばらくは、この二人は安泰なような気がしました。
それにしても・・・、つくづく、人の気持ちというのは、難しいものですね。
お互いがお互いに、気持ちが向いていないと、意思の疎通は無理なのですから。
それと、人と人とが繋がり続ける場合(肉体関係がある場合の)、その二人の根底にあるモノっていうのは、恋だの愛だのっていう甘いものばかりでは無い・・・というのは、歳を重ねると見えてくると思うのですが、木原音瀬さんの「痛い系」の小説を読む時、いつも「今回の繋がりは何だろう?」と思って読むんですね。
いつもいつも、とことんまで甘いものを削ぎ落として、残ったものを浮き彫りにしてくれるからです。
それは、アリなの?アリなのかもね・・・と思えるファンタジーのマジックには、いつも脱帽です(笑)
『FRAGILE』の二人は、愛する人に赦されて命を貰い、命を預け続ける男と、うっかり命を預けられてしまい、面倒なので、それでも良いか・・・と思ってしまった男。
・・・というのが、最終的に出来上がった構図なのかな?と、私はそう感じました。違うのかな・・・。
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:木原音瀬 高緒拾
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
フリージング アイ
- 2008.
- 03.
- 22
- (Sat)
- 11:51
小説です。イラストは雪舟薫さんです。
華藤えれなさんの、スレイヴァーズシリーズからの、リンク作品です。
どんなお話かと言いますと・・・
「好きだ」―突然の告白に早瀬は唖然とする。
相手は凄腕と名高い社内弁護士の若宮。
真摯なまなざしで告げる彼に困惑しながら、早瀬は怜悧な美貌を淡くほころばせ、告白を拒んだ。
だが後日、若宮の補佐を命じられて彼のもとを訪れると、若宮は早瀬の拒否などなかったかのように誘いをかけてきた。
以来、若宮の強引な干渉に辟易する早瀬だが、彼を疎ましく感じる一方、自分と正反対な彼に興味を覚え始める。
そんなある日、ふいに若宮から荒々しく口づけられ…。
(『フリージング アイ』書籍裏の内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
※こちらの作品は、スレイヴァーズシリーズのリンク作品です。
『スレイヴァーズ ディア』での、柊一さまご乱心!のきっかけになったかと思われる、若宮と早瀬の、マカロン押し込みらぶらぶシーンを読めば、こちらの『フリージング アイ』への期待も高まると言うもの。
が、しかし・・・こちらも私には今ひとつでした。
どうにも、噛み合わないと言いますか・・・。
何が駄目だったんだろう?悔しい(笑)
早瀬[受]は、トラウマ持ちで閉じている人なんで、モロ好みなはずだったんですけれど。
若宮[攻]が、早瀬のどんな所が好きになったか?について、もう少し詳しく知りたかったかな・・・ていうか、私には読み取る事が出来ませんでした(^^;)
それが原因か?
それと、若宮の言動が、私には理解不能なものが多かったです。
早瀬が、若宮に惹かれて行く過程は、とても良くわかったんですけれどもね。
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:華藤えれな 雪舟薫
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
埃まみれの甘いキス甘いからだ
- 2008.
- 03.
- 20
- (Thu)
- 23:09
小説です。イラストは蓮川愛さんです。
雑誌で小説は、いくつか読んだ事はあるのですけれども、初めて購入する作家さんの本です。
今回、ガテン系職人さんのお話だというので、購入してみました。
萌えました!!良かったです〜♪
ご馳走様(*^-^)
どんなお話かと言いますと・・・
ガテン系職人のくせにキレイな顔と体の矢倉は、建設業界の零細会社の社長。
微妙かつ歴然とした商売敵である中堅会社の若社長、村川と飲み屋で意気投合をして−−。
だが、曖昧な関係を追い詰めるように、二人の仕事も心も揺るがす事件が起きる!?
(『埃まみれの甘いキス甘いからだ』書籍裏の内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
こちら『埃まみれの甘いキス甘いからだ』は、萌えスイッチがパチっ!と入りまして、全開で楽しめました。
つくづく私は、おハイソな設定では萌えないんだなぁ、と思い知った次第です。
こちらのお話、身体から入るお話で・・・強姦?
それはちょっと違うような気がしますけど・・・
お酒に酔って酩酊状態の時に、仕掛けられ、気が付いて「をいをい!」となるのですが、深酒で身体の自由が利かず、抵抗できずにいるうちに身体が・・・という始まり方です。
村川[攻]は、男気があって清々しく、矢倉[受]は真面目で情に厚く、二人とも仕事に対する姿勢はとても真面目で、微妙な関係にあるお互いの会社については、私生活と自分の会社での立場は、キッチリ分けたいと思っているわけです。
それ故に、苦しむ・・・という状況に立たされてしまうのですけれども。
この二人の会話が、イイんですよ・・・。
矢倉が、意地っ張りで、憎まれ口をたたくのですが、村川は、それと知っているので、気を悪くするでもなく、軽く往なして強引に攻めて行きます。
そのやりとりが面白くて。
矢倉は何気にカワイイし。
バトルのような濡れ場もイイ!
煽って煽られて、また煽り返してやる!・・・みたいな?
押せ押せムードでエロくて美味しかったです。
いやいや〜、とても良いお買い物をしました♪
烏城あきらさんとか中原一也さんとか、お好きであれば、おすすめかもしれません。
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:萩野シロ 蓮川愛
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
発明家に手を出すな
- 2008.
- 02.
- 29
- (Fri)
- 19:11
小説です。イラストは長門サイチさんです。
数年前に購入しました。
さて・・・少しずつ、蔵書整理すすめて行きます。
感想が書きやすい本から・・・(;^。^A
こちらの小説、あまりにも面白くて、私の中では、忘れられない一冊となっております。
これって・・・喜劇ですよね?
え?違いますか?
どんなお話かと言いますと・・・
大手電器メーカーで、特許申請を行う弁理士として働いていた平井将孝は、上からの無理な注文にキレて暴言を吐き、会社を辞職しました。
仕事を失くした将孝は、祖父が営む特許事務所を手伝う事になりましたが、祖父は、自分の大切な顧客である「世紀の大発明家」原田武之を、将孝に託す事にしました。
将孝は、原田の研究所の一室で、早速仕事に取り組む事になりましたが、原田から、自分以外のデータも必要だからと、開発中の育毛剤の検体を頼まれました。
将孝は原田から、将孝の祖父も協力したのだと聞き、仕方なく了承し、原田の研究所に泊まり込む事となりましたが、二人で酒を飲んだある夜、なぜか一向に発毛しない将孝の皮膚の状態を調べるからと、原田のベッドに引きずり込まれ、薬を塗った場所を触られてしまうのでしたが・・・?・・・というようなお話です。
弁理士という仕事に情熱を傾ける将孝の熱い仕事ぶりと、刷毛プレイ育毛剤のデータ採取の為の様子が生み出す滑稽さが、絶妙なバランスで、ただの馬鹿馬鹿しいお話にはなっていない所が凄い(笑)
原田の常人を逸した考えや行動は興味深く、また、二重人格か?と思えるほどの、将孝の見事なぶちキレ具合も面白いし、将孝のその負けん気の強さが災いして、自らを泥沼へと導いてしまう、というのも笑えます。
原田は憎めない奴だし、最後の原田の豹変ぶりは・・・将孝では無くとも、開いた口が塞がりません(笑)
さすがBLだけあって、雪男のままでは・・・という事なのでしょうね。
こちらのお話は、あからさまな胸キュンな恋バナでは無いかもしれません。
原田は、先に将孝に対して身体が反応してしまい・・・将孝は、原田に対して発明家としての憧れは持っているけれど・・・という始まりのお話ですし、将孝は、原田との「世紀の大発明家と弁理士」という関係を大切に考えるあまり、自分がとった行動や感情を「不可解なモノ」として最後まで棚に上げて置いてしまっていますから。
それでも、最後はやっとその「不可解なモノ」を棚から下ろす気になるんですけれどもね。
それにしても。
研究データがあまりにも美しく、そこから見えるすばらしい研究手法に、まだ見ぬ人に憧れを抱いてしまう・・・というのは、恋にも似たような感情ですよねぇ・・・
私も、研究データでは無いですけれど、それに似たようなモノを見て、簡単に惚れてしまえる人なんで(^^;)その感覚は良く理解できちゃったりして。
- 他ブログのレビューも見てみる? ▼
-
- tag:烏城あきら 長門サイチ
- ジャンル:小説・文学
- テーマ:[小説・文学]BL小説
















