悲しみの涙はいらない
- 2008.
- 05.
- 14
- (Wed)
- 13:33
水原とほるさんの小説です。イラストはヤマシタトモコさんです。
なんと!すっきりハッピーエンドで救われるお話でした。良かったです!
いやいや〜、BLなんだから普通そうでしょう・・・でも、水原とほるさんですよ?
ダリアだからかな?
ここ最近、『青の疑惑』→『小夜時雨の宿』と、読んでみて、水原とほるさんが書かれる小説の傾向が変わって来たなと思っていたのですが、先日、『午前一時の純真』を読んで、また戻った!(笑)と思い、もういいかな?と。
それなのに、やっぱり買っちゃうんだな。コレが。
たぶん、水原とほるさんじゃ無かったら、こういうセンスのタイトルでは、手に取らなかったかも?
まあ、それは私の好みの問題ですけれども(^_^;)
どんなお話かと言いますと・・・
母親に捨てられ、義父の借金のカタとして金融業を営む国枝に引き渡された遥。
その美しく儚げな容貌で借金返済のために売春を強要されてきた。
男達からの陵辱に耐えるため、固く心を閉ざしていたはずなのに、気まぐれに自分を抱いた国枝の言葉に何故か傷ついてしまう。
端整な顔立ちだが冷たい目をした国枝の冷酷さに怯えながらも、垣間見える彼の孤独と優しさに遥の心は揺れ動き…。
(『悲しみの涙はいらない』書籍裏の内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
ろくでもない母親の為にコロコロと父親が変わり、あげくの果てには、母親に捨てられ、義父から暴行を受け、義父の借金のカタに売られて売春を強要される・・・という、散々な目に遭ってきた、高校二年の遥が主人公です。
幼い頃から不幸な境遇で生きてきた遥は、さめていると言いますか、何か達観したところがあって、何にも誰にも期待なんてしていないんですね。
自分の不幸な境遇を、無駄に嘆いたり拗ねたりなんかしない。
そんな事をしても何が良くなるわけでは無いという事を知っているから。
まだ17歳だと言うのに・・・(涙)
遥を売春させていた国枝は、やがて、遥を自分の元に置き、「学校へ行きたい」という遥の希望を聞き入れるものの、遥の事を「いろんな男の手垢がついた淫らな身体だ」と言いながら陵辱し、遥を自分の元に縛り付けます。
そして、遥を学校へ通わせるのは、高給取りになって早く借金が返せるように、という理由だと国枝から言われますが、遥は、もっと手っ取り早く自分をお金に換える方法があるのに、それをやらない国枝に優しさを見い出してしまいます。
国枝が遥を手元に置きたいと思ったのは、何もかも諦めたような顔をしている遥が、自分と似ていると思ったからで。
そんな国枝もまた、不幸な境遇を生きて来た人だったんですね。
もちろん、国枝も遥と同様に、周りに何を望むわけでも無く、施設を出た後は、自分の力でここまでのし上がって来たのだと思いますが、そんな自分だったからこそ、まだ17歳という子供である遥には、何かを与えたかったんじゃないかな?と感じました。
この二人、一緒に暮らすうちに、お互いに、思い遣る気持ちが出て来たり、与えられる事に喜びを見い出したり、仕舞いには、自分がして貰いたい事を相手に口にするようになります。
(特に、国枝ですね。遥は、最初から国枝に対しては、感謝の気持ちを持っていますから。)
相手に頼りたいという気持ち?それは「甘え」というものだと思うのですが、それって、相手を信頼しているからこそ、ですよね?
暴力に対する怯えがあったとしても、遥は、優しいし健気だし。
これで、可愛がられなけりゃ、救われません。
国枝は、遥に「いろんな男の手垢がついた淫らな身体だ」と言っては、自分に縛りつけて来ましたが、後には「自分の身体はきれいじゃない」と涙を流す遥を宥めたり、「おまえは汚れてなどいない」と言います。
国枝こそ、人を殺めた過去がある、汚れた男だったからです。
遥は、これでもマシなほうなんだと、仕方が無いと割り切って、男たちに身を任せていたせいで、コアな部分は傷がつき難かったように思いましたが、けっしてそうでは無くて。
あたり前ですよね・・・(涙)
国枝も、実は、その部分をひじょうに気にしていたんじゃないかな?と思いました。
それなのにさー、国枝は、あんな言葉と態度で、遥を縛りつけて。
しかも、自分こそが汚れていると思って、遥にマトモに手を出す事に躊躇していたなんて。
どんだけ不器用なんだ!
冷酷で合理的だと思った国枝が、遥と出会って、変わって行くのは読んでいて嬉しかったし、不幸な境遇にありながら、賢くて健気な遥には泣けました。
それにしても、国枝。不器用すぎるよね?
ああ!こちらの二人のらぶらぶなその後が読みたいわ〜。
水原とほるさんの小説を読んで、そんな事を思ったのは、初めてかも?
ちなみに、暴力や性描写は、微細に亘った表現では無かったように思いました。
ダリアだから?
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