愛しい鍵
- 2008.
- 07.
- 04
- (Fri)
- 13:37
黒崎あつしさんの小説です。イラストは街子マドカさんです。
こちらは、『優しい鎖』の続編で、シリーズの3作目となっています。
そして、こちらの『愛しい鍵』で完結のようですね。
すっかり忘れていたので、前作の感想をまとめるヒマも無く・・・いつものごとく、三作品まとめての感想です。
どんなお話かと言いますと・・・
小野瀬グループの跡継ぎ・明生は、ボディーガードで恋人の信矢と幸せな日々を過ごしつつも、信矢が時折垣間見せる不安定さをいぶかしんでいた。
しかし、親友・猛の助言と母親との再会をきっかけに、自分の心の矛盾点にも気づき始めてしまい――。
過去との決着をつけ、二人が本当の気持ちを確かめあえる日は来るのか!?
(『愛しい鍵』書籍カバーの内容紹介より引用しました)・・・というようなお話です。
▼これまでのお話
- 『甘い首輪』
- 小野瀬グループの跡継ぎ・明生の側にはいつも番犬がいる。番犬の名は高見信矢。明生のボディガードをしている。
明生が友人の猛に薬を飲まされたのをきっかけに、身体を重ねるようになったふたりだが、信矢は仕事の一環として相手をしているようで……。
そんなある日、明生が誘拐されてしまう。しかし何故か、誘拐犯は幼い頃に亡くした父親と同じ顔をしていて――!?
(『甘い首輪』書籍カバーの内容紹介より引用しました)- 『優しい鎖』
- 誘拐事件をきっかけに、主人と番犬という関係から恋人同士となったふたり。
だが、ベッド以外では主従関係を崩さない信矢の態度に明生は少々不満気味。
そんな明生の前に、7年前に父・光樹と信矢の叔父・真中が亡くなった爆発事故を調べているというライター・古屋が現れる。
真中の死の真相を知った明生は、そのことで信矢が自分から離れていくのではと不安になるが!?
(『優しい鎖』書籍カバーの内容紹介より引用しました)
ええと・・・こちらの『愛しい鍵』は、一作目から読まないと、楽しめないような気が。
そして、倫理的にちょっとキビシイ話も含まれており、トンデモ設定?それから、ほんのりサイコホラー風味のような気もします。
ですから、物語の中に入るのが難しい方は、けっこういらっしゃるような気がします。
私はこちらのシリーズは楽しめましたけれども。
BLといった雰囲気の話ではないように思いますが、濡れ場は多いです。
萌え要素は何かなぁ・・・執着系、下克上風味、お兄ちゃん、ショタ風味、そんな感じかなぁ。どれにも自分の萌えが無いので、良くわかりません(-_-;)
『甘い首輪』では、お金持ちのお坊ちゃまはお坊ちゃまなりに大変なのねー、というアサッテな感想を漏らしつつ、それでも、自分の為に変わってしまった大好きな信矢を、小野瀬家から開放してあげたい、とか、お坊ちゃまなりに色々な事を考えていたりして、健気だなぁと思って読みました。
しかしね、どうも、明生の態度に違和感があって、なんだかモヤモヤ。
そして、最後のほうで語られる、明生に関する秘密に気づいた信矢に歪みを感じて、ちょっと怖いなと思いました。
『優しい鎖』では、明生の父である光樹と信矢の叔父である真中が亡くなった、爆発事故の真相が、明らかになりました。
怖いよ!光樹が。イカレている。
明生と信矢の関係は、相変わらず甘く歪んでいて・・・。
『愛しい鍵』では、いよいよ、明生と信矢の関係が変わります。
こちらのシリーズは、ネタバレになると面白く無いと思うので、軽めの感想を。
明生と信矢の盲目的な関係は、二人だけの閉じた空間で甘く歪んでいて濃密です。
特に、『愛しい鍵』は、濡れ場での明生は、おそろしく幼くなってしまって、そこにもの凄い違和感を感じ、信矢はそれをとても楽しんでいるという様子に、何とも言えない気持ち悪さを覚えました。
(BL的には、ここは萌えるトコロだろう!という話も・・・)
まあ、それには秘密の「鍵」があるのですけれどもね。
信矢の歪んだ強い執着を不気味に思う反面、「鍵」を使う事に溺れた信矢の孤独で弱い心が悲しく思えました。
屈託の無い甘い笑顔を自分に向けて欲しいだけだったのにね。
きっと、苦悩や葛藤があったんだろうけれども、願いが単純だった為に、溺れやすかったのかもしれないなぁと思いました。
それに、何と言っても、明生がそうとは知らずに信矢に「鍵」を使う事を強要したのですから。
望まれて使う「鍵」と意図して使う「鍵」。
けっして許されるような事では無いのですけれども。
それにしても・・・
お坊ちゃまで信矢お兄ちゃん大好きな明生だったんですけれども、ちゃんと自我が育っていたんだなぁと。
自分が望む、信矢との関係を描けるようにまでなってヨカッタヨカッタ!
そう言えばこちらのシリーズは、括弧書きのモノローグが多いのですけれど、それが生きているんですよね。
括弧書きのモノローグを通して、明生の秘めた心を知る事になるのですが、そのおかげで読者は、小さな引っ掛かりを覚えたり、変化して行く明生に気付く事ができます。
モノローグを通して、わりと客観的に物事を考える事が出来る子なのに、何かおかしいという違和感?
『甘い首輪』を読んだ時には、何に違和感を感じたのかはっきりわかりませんでしたが、これだったんだなぁと。
客観的に物事を考える事が出来る明生と、信矢を目の前にするととたんに盲目的になってしまう明生。
親友・猛の言う所の「精神的近眼」というのはこういう事だったのか!と。
何はともあれ、どうなるんだ?この話!と思われたこのシリーズ、キッチリと終わりましたね。
しばらくちょっと忘れていましたが(-_-;)
盲目的で甘く歪んだ関係に萌えた方には、少々物足りない結末だったのかな?
私は、むしろ、このような結末で満足しましたけれども。
ただね、最後にオカルトネタが使われたのだけは、ちょっといただけないなーと思いました。興醒め。がっかりだよ!
ホラー風味を残したかったのかしら?
どうもねぇ・・・BLでオカルトを出されると、とたんに醒めちゃうんですよねぇ・・・個人的な愚痴でごめんなさい(-_-;)
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